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臀部・大腿等の皮弁による乳房再建

臀部・大腿等の皮弁による乳房再建の適用

自家組織再建を行う場合にまず考えなければいけないことは、ある一定以上の面積の皮弁を準備しないと、綺麗な治療結果にならないという点です。残念ながら、日本人の体型は欧米人と異なり、臀部や大腿がブヨブヨしている人は多くはありません。臀部や大腿部分は皮膚の下の脂肪が厚くはないので、皮膚だけを残して脂肪をたくさん取ることはできず、結果としてある程度の幅の皮膚を一緒に採取することになるのですが、このことが与える影響として日常生活上問題になるのは、I-GAP(臀部の下の部分を用いる術式)や大腿内側の皮弁(PAP)を用いた場合に正座をしにくくなるという点です。

 

日本人の文化の中では現代においてもかしこまった席において正座をするシーンはあると思います。再建材料として他の選択肢がない(例:腹部の脂肪が全くない場合)のであれば選択理由としてわかりやすいのですが、人工物や腹部皮弁を選択できるのであれば、それらを選択した方が長い目で見てご自身の生活のQOLを維持することができるのではないかと考えます。再建したという過去を全く意識せずに暮らすことは難しいかもしれませんが、日常の中で何か不自由に感じるシーンをできるだけ少なくできるように配慮できてこそ本来あるべき乳房再建と言えるのではないでしょうか。したがって、当院では自家組織再建の選択肢として臀部(I-GAP flap)や大腿部分の皮弁を第一選択とはしておりません。ただし、前述の通り、腹部の脂肪が全くない場合や、術式の概念を十分理解された上で患者様ご自身の強い希望がある場合には、もちろん全ての術式が選択可能です。